今までに月面着陸は、旧ソ連、米国、中国、インドの順で既に達成しています。
実は、日本も1993年4月11日、ソ連、アメリカに次いで、世界で3番目に月面到達を果たしています。
ただ月面着陸ではなく工学実験衛星「飛天」を月のゆたかの海へ落とすという形で見事に月の目標地点「ゆたかの海」へ「飛天」を落とすことに成功しています。
なので日本は世界で3番目に月へ爪痕を残しているという事です。
今回は、日本も2024年1月20日未明に実証機「スリム」によって月面着陸に挑みます。
もし日本が、月面着陸に成功すれば世界で5カ国目となります。
「なんだ5番目かぁ」と思う人も居るかもしれませんが、日本の月面着陸は各国とは比べ物にならないくらいの難易度の高い着陸に挑戦しよという事です。
これまで各国の月面着陸は、着陸精度の制約から位置の誤差が数キロ以上ある「大体この辺」という場所に降り立っていたのに対し 今回の日本の実証機「スリム」による月面着陸は、他国とは桁違いのピンポイントの100メートル級を目指すというモノです。
スリムは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の計画で月面へのピンポイント着陸を小型軽量の機体で実証することを通じ、効果的で高効率の月・惑星探査、将来の資源開発につながるという事です。
日本のスリムは、名前の通り機体は高さ2.4m、縦1.7m、横2.7m、で燃料を含む重さは700キロほどと軽く乗用車より小さいほどの機体に、大きな期待が集まっています。
スリムの坂井真一郎プロジェクトマネージャ(JAXA宇宙科学研究所教授)によると「ピンポイント着陸を実証できれば世界初だが、そこにだけに意義があるのではなく他国の持たない技術が非常に大きなアドバンテージ(優位)となり、今後の国際協力で役に立てる」という事です。
着陸作業は、まず1月19日午後10時40分頃、高度15キロを航行するスリムが、飛行機の数倍という秒速1.8キロから減速し、降下を開始します。
月面周回機「かぐや」が、2007~2009年の探査で得たクレーターの地図と照合して、機体の位置や高度をリアルタイムで把握し降下開始場所から800キロ離れた、着陸地点上空へと向かいます。
この「画像照合航法」の原理は、デジタルカメラの顔認識機能と同じで、顔ではなくクレーターを目印にするものだという事です。
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日付が変わる1月20日午前0時頃、着陸地点上空の高度7キロにさしかかると、垂直に降下を開始しカメラの画像から岩などの障害物を検出して自ら回避するほか、レーダーによる高度や速度の精密計測も活用すし0時20分頃、月面の低緯度の平原「神酒の海」にある「シオリクレーター」付近の、半径100メートルの円内に着陸する予定です。
一連の着陸過程を例にたとえると「新千歳空港の上空を通過し、20分後に甲子園球場の中にピタッと降りることに挑戦する」というモノだそうです。
着陸の制御は、相模原市にある管制室から指示を出すのではなく、機体が自律して進めるためいったん着陸の降下を始めると中止はできず、管制室からは見守ることしかできません。
なので着陸の降下中は、運を天に任すしかないようです。
スリムは小型ロボット「レブ1,レブ2」も載せているので着陸直前の高度2メートルから2体を分離し、スリムが着陸した姿の撮影や状況確認、通信などを行うようです。
このうち「レブ1」は飛び跳ねるなどして移動するタイプで、「レブ2」は球形で、着地後に卵が割れるように変形して2輪で走るものでどちらもユニークな移動方法を取ってるようですね。
スリムの月面着陸に関しては、短めの5本足が特徴で まず1本の「主脚」で月面に接地し、次に残り4本の足も使って、15度の傾斜地に、上り坂に向かってしがみつくように倒れ込む「2段階着陸方式」を取るということです。
わざと転倒させる着陸方式を取るのは、傾斜地に確実に着陸する方法を研究者たちの知恵でひねり出した結果だそうです。
でもわざと転倒させて大丈夫なんでしょうかね?
「はやぶさ」や「はやぶさ2」が、行った小惑星の「イトカワ」や「リュウグウ」の重力とは、桁違いに月の重力は、大きく地球の重力の1/6ですからね。
1月20日未明には、着陸の成否が明らかになり、ピンポイント着陸の成否の判定には1カ月ほどかかる見込なんだそうです。
着陸位置の確認ってけっこう日にちがかかるんですね!
とにかくセイコウいや成功する事を祈っています。
実証機「スリム」の開発費は約149億円(打ち上げ費用の一部と初期運用費用を含む)かかってるという事です。