血液が生命や力の根源であるという考え方は、古くからあったようです。
1616年にウイリアム・ハーベーが、「血液の体内循環論」の発表をきっかけに、動物の血管の中にビールや尿など、あらゆる物質を注入する実験が始まりました。
1616年と言ったら日本では、元和2年で 大阪夏の陣の1年後ですね。
ちなみに輸血拒否で有名な「エホバの証人」は、1870年代の初め、アメリカの一都市から始まったキリスト教系の新宗教団体で チャールズ・テイズ・ラッセルを長とする聖書研究の集まりが発足して 以後そのグループが発展して現在の「エホバの証人」の団体となったという事です。(ウィキペディアより)
話をもどして1616年当時、注入用の器具として使われたのは、主に羽軸と動物の膀胱を組み合わせたもので、これは現在の点滴用器具の先駆けをなすものといわれています。
この時代には、科学者のなかにさえ、子羊の血液を犬に注入すると、羊毛やひづめが生えてくるばかりでなく、そのほえ声も羊の鳴き声になってしまうと、真剣に議論した科学者がいたそうです。
現代のコロナワクチンでさえも色んな噂が飛びましたからね!
1667年 に輸血医ドニは、 人間に対する輸血として認められている最初の輸血を行っています。
貧血と高熱のある青年に半パイント(約225mL)の小羊の血液を輸血しました。
この輸血で青年は顕著な回復をみせたんだそうです。
なのでこの後も、輸血医ドニは、小羊の血液を用いて輸血を行い続けました。
しかし、ついに一人の患者を死なせてしまいす。
当然と言えば当然ですよね。小羊の血液ですから。
このために彼は殺人者として扱われ、長い裁判の結果、無罪となりました。
しかしこれをきっかけにフランスでの輸血は禁止されてしまいます。
これにならって、イギリス議会やローマ法王庁からも輸血禁止令が出され、ヨーロッパでの輸血は全くなくなりました。
それから時が経ち1818年 ジェームズ・ブランデルは、ガン患者に人間の血液を輸血して失敗します。
1825年 出産時の失血で死に瀕した婦人に輸血をしてこれには成功します。
イギリスの産科医であったブランデルの成功は世界中に伝わり、再び輸血について注目が集まります。
しかしながら、当時はまだ、血液型はもちろん、血液を体外に採り出したときに凝固するのを防ぐ方法も知られていなかったため、輸血に伴って起きる重い副作用や死亡事故などは当たり前の事だったようです。
従って、本格的な輸血の始まりは、血液型や抗凝固剤などが発見される20世紀まで待たなければなりませんでした。
1900年 オーストリアのカール・ランドシュタイナーは、ABO血液型を発見します。
彼はオーストリアの医師で、人間同士の血液でも、混ぜ合わせると血球の凝集が起こる場合があることを知りました。
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【▲上記の記事からの続き▼】
これが今日よく知られているABO血液型の発見です。
これによって、これまで輸血の際、型の合っていない血液を使用したために生じた重い副作用や死亡事故を減らすことができるようになりました。
1914年には、 抗凝固剤の発見があります。
血液型が発見された後も、血液を体外に採り出したときに固まってしまう問題が未解決でしたが、クエン酸ナトリウムを血液に混入すると固まらないことが分かります。
この血液型と抗凝固剤の発見により、血液を採取して保存しておき、必要なときにそれを取り出して輸血に使用することが可能になりました。
1937年に 世界初の血液銀行が設立されました。
これはアメリカの医師 ファンタスが、シカゴにあるCook County病院内に設立したものです。
1回の採血量は500mLで、その保存期間はたったの10日間だったそうです。
血液を血球と血しょうに分離する技術も、このころ開発されました。
また、1930年代末に始まった第2次世界大戦では、大変多くの輸血が行われ、傷病兵の生命を救いました。
1940年 ラントシュタイナーとウィーナーがRh血液型を発見
1943年 血液保存液(ACD液)が開発される
1944年 Cohn コーン(米・ハーバード大学) 血しょう分画製剤の製法を完成
近年、輸血の方法は大きく変わりました。
それまでは、まくら元輸血やガラス瓶に採取した血液をそっくりそのまま輸血する方法でしたが、今日では、プラスチック製の血液バッグに採取した血液を、血球や血しょうに分けて輸血する成分輸血が主流となっています。
また最近では、他人の血液を輸血せずに、患者自身の血液を輸血する自己血輸血という方法もあるんだそうです。
血液が神秘的なものと信じられていた古代から今日まで、血液とその輸血は数多くの障害や紆余曲折を経て効果的安全な輸血ができるようになったんですね。
輸血拒否で有名な「エホバの証人」は、1870年代の初め、アメリカの一都市から始まったキリスト教系の新宗教団体という事ですから この頃は、まだ輸血の安全性は、確立されておらず今の様に安全では無かったので禁止したのではと私は、勝手に解釈しています。
「エホバの証人」は、宗教上の理由「旧約聖書も新約聖書もはっきりと,血を避けるよう命じています。」と書いてあるという主張で輸血ができないという事のようですが、全世界のクリスチャン皆が、輸血拒否をしているわけではないので「エホバの証人」の聖書の解釈の問題だけの様に感じます。
1985年に川崎市で起きた事故では、信者の親が輸血を拒否、小学5年生の男の子が死亡した事例があります。
子どもたちの権利や命が信教の自由のもとで奪われていいのでしょうか?