昨日の朝ドラでは、万太郎の実家の酒蔵では「火落ち」が起きで峰屋ののれんを下すことになりました。
この日の「らんまん」では、新しい酒ができ、綾も竹雄も喜んでいた直後に蔵の酒に異変が起こりました。
杜氏の親方は「火落ちじゃ」とつぶやき、酒を全廃棄することになりました。
「火落ち」ってなんだ?
と思い「酒がダメになる事」というのは、想像が付いたが、お酒に何が起きたのかが、分からなかったのでネットで調べてみました。
ウィキペディアによると 火落ちとは、日本酒の製法用語の一つで、製造している日本酒が貯蔵中に白濁して腐造することをいう。火落ち菌(火落菌)によって引き起こされる。これを防ぐために火入れという工程が行なわれる。
と書かれていました。
火落ちという現象を起こす「火落ち菌」というのがいて これはコウジカビが生成するメバロン酸(通称「火落ち酸」)を主食とすることが今日ではわかっているそうです。
火落ち菌は乳酸菌の一種で、日本酒に入り込むと濁りを生じ、酸化させ、また臭みを帯びさせるようです。
6%ぐらいの濃度のアルコールが最適な生育環境という事ですが、25%程度でも問題なく成育するようです。
また日本酒のような弱酸性の環境を好み まさに日本酒は火落ち菌にとって理想的な生活環境なんだそうです。
火落ち菌についての研究は、1906年に東京帝国大学の高橋偵造によって開始され、ふつうの細菌用培地には育たないが日本酒を入れてやると生育する菌がいることを発見し真性火落菌と命名されました。
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【▲上記の記事からの続き▼】
これは、日本酒の中だけに菌の生育に必須の成分が存在することを示しているという事です。
その後、多くの微生物学者や醸造学者によって更なる研究がなされたようですがなかなか進捗を見ず、ようやく1956年になって、微生物定量法を採用した東京大学の田村学造によって、この成分がメバロン酸であることが発見されました。
日本では当初火落酸と命名されたが、後に改称されたという事です。
火入れをせず、日本酒のなかに火落ち菌を放置すると、安全醸造が保障されている現在でも過熟になって、酒が酢のようになったり、老ね香を発したりすることがあるという事です。
火入れは加熱殺菌の一種でありますが、酒質を損ねないために温度帯としては比較的低めで行われるようです。
明治時代に来日したイギリス人ロバート・ウィリアム・アトキンソンは、1881年(明治14年)に日本各地の酒屋でこの火入れの様子を観察し、西洋のパスチャライゼーションと異なり温度計のない環境で、杜氏が酒の表面に「の」の字がやっと書ける熱さとしてぴったりと華氏130度(約55℃)を充てることに驚きを表明していたそうです。
その後、火入れの温度は火落ち菌の発見当時で約60℃、現在でも62℃から68℃を以って通例としているようです。
ちなみに中国の紹興酒にも同様の工程があるようですが約85℃でされてるという事です。
新しい酒造りに挑戦したのが、裏目に出たのでそうかね?