太陽の塔：「地底の太陽」の謎に迫るNHK番組 2025年5月3日、NHKで放送されたドキュメンタリー【太陽の塔 消えた顔を追え】では、1970年の大阪万博で芸術家・岡本太郎が制作した「太陽の塔」についての謎が特集されました。

「太陽の塔」は、人類の進化や精神性を象徴するアート作品であり、未来の「黄金の顔」、現在の「太陽の顔」、過去の「黒い太陽」、そして精神世界の「地底の太陽」という4つの顔を持っていました。そのうち「地底の太陽」は塔内部に設置され、生命の進化を表現する「生命の樹」とともに展示されていました。しかし万博終了後の撤去作業を経て、約50年間にわたりその行方は不明となっています。

番組では失われた「地底の太陽」を探す調査が進行し、布施畑環境センターに焦点が当てられました。この施設は1980年代に産業廃棄物が搬入されていた場所で、オブジェが解体・埋立処分された可能性が示唆されました。地中探査も実施されましたが、「地底の太陽」の存在を示す明確な証拠は確認できませんでした。

岡本太郎がこの作品に込めた「死への祈り」というメッセージが適切に保存されなかったことへの無念さが語られ、物体としての発見は叶いませんでしたが、失われた芸術の意義や継承の重要性が提起されました。

現在「地底の太陽」は復元版として「太陽の塔 内部再生」事業により展示され、平成30年3月から一般公開されています。この事業では耐震工事とともに「生命の樹」や「地底の太陽」が再現され、文化遺産として新たな命を吹き込まれています。