一銭を笑うものは一銭に泣く——備蓄米の価値を軽視してよいのか？

「一銭を笑うものは一銭に泣く」という言葉は、たとえ少額でも軽んじてはいけないという戒めを伝えています。この考え方は、食糧備蓄にも通じるものがあります。とりわけ、政府備蓄米に関する最近の発言を巡る議論は、この教訓を思い起こさせるものです。

立憲民主党の原口一博衆院議員は、佐賀市で開かれた集会で、政府備蓄米について「古古古米はニワトリさんが一番食べている。人間様は食べてないんですよ」と発言。一方で、国民民主党の玉木雄一郎代表も、衆院農林水産委員会にて「あと1年たったら動物の餌になるようなもの」と発言し、その後批判を受けて謝罪しました。こうした言葉は、食糧安全保障の重要性に対する認識の欠如を示していると考えられます。

食糧備蓄は、国の安定を支える重要な制度です。たとえ古古古米と呼ばれる米であっても、緊急時には貴重な食糧資源となります。特に災害時、政府備蓄米は被災地へ供給され、人々の命をつなぐ重要な役割を果たします。もし大規模な災害が発生し、食糧不足が深刻化したとき、「古米は動物の餌だから不要」と言えるでしょうか。備蓄米を軽んじることは、いずれその価値を切実に感じる日が来ることを意味するかもしれません。

日本には「一銭を笑うものは一銭に泣く」という教訓があるように、「備蓄米を笑う者はいずれ古米に泣く」という警鐘を鳴らすべきではないでしょうか。食糧の価値は状況によって変化するものです。普段は意識しなくとも、それが必要になる時にはすでに遅いのです。