昭和から平安へ――男女入れ替わり物語の歴史をたどる

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平安時代末期に誕生した『とりかへばや物語』は、日本最古の男女入れ替わり物語。昭和の作品や現代のアニメにも通じるテーマを持つこの物語の魅力と文化的意義を紹介します。

日本最古の男女入れ替わり物語『とりかへばや物語』とは?平安時代から続くジェンダー逆転の系譜

昭和から平安へ――男女入れ替わり物語の歴史をたどる

はじめに

「男女が入れ替わる物語」と聞いて、あなたはどんな作品を思い浮かべますか? 『君の名は。』や『転校生』など、映画やアニメで描かれるこのテーマは、笑いや感動、そして深い人間ドラマを生み出します。

しかし、実はこのテーマ――平安時代末期にすでに描かれていたことをご存じでしょうか? 今回は、日本最古の男女入れ替わり物語『とりかへばや物語』を中心に、昭和から現代までの作品とのつながりをたどってみましょう。

昭和~現代の男女入れ替わり作品

私が知っている範囲でも、以下のような作品があります。

  • 1932年(昭和7年)『あべこべ物語(原題:あべこべ玉)』:サトウハチローによる小説。日本初期の入れ替わり作品として知られています。
  • 1973年(昭和48年)『ポンポコ玉(あべこべ玉)』:ユーモラスな設定で人気を博した作品。
  • 1975年(昭和50年)『ボクの初体験』:思春期の葛藤と入れ替わりを描いた青春作品。
  • 1979年(昭和54年)『おれがあいつであいつがおれで』:入れ替わりを通じて友情や家族の絆を描く名作。
  • 1982年(昭和57年)『転校生』:階段からの転落で男女が入れ替わる、斬新な設定の映画。
  • 2016年(平成28年)『君の名は。』:夢を通じて入れ替わる高校生の物語。世界的ヒットとなりました。

これらの作品は、時代ごとに異なる価値観や社会背景を反映しながら、「他者の視点で生きること」の面白さと難しさを描いています。

『とりかへばや物語』とは?

成立と背景

『とりかへばや物語』は、平安時代末期(12世紀頃)に成立したとされる物語です。 タイトルの「とりかへばや」は、「取り替えたいなあ」という意味で、登場人物の性格と性別が一致しないことへの嘆きから始まります。

この物語は、性別を入れ替えて育てられた双子の兄妹を主人公に、宮廷での恋愛、葛藤、そして出世を描いた壮大なドラマです。

現代語訳で読むには?

『とりかへばや物語』は、岩波書店や講談社などから現代語訳付きの文庫版が出版されています。 また、Amazon Kindleやカクヨムなどの電子書籍でも、読みやすい訳が公開されています。

Amazon Kindle版(水谷悠歩・波黎ひろみ 著)

【▼記事は、下記に続く】

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あらすじ

関白左大臣には双子の子どもがいました。

  • 男児は内気で女性的 →「姫君」として育てられる
  • 女児は快活で男性的 →「若君」として育てられる

若君(女児)は男装して宮廷に出仕し、右大臣の娘と結婚しますが、妻は若君の親友・宰相中将と密通し、夫婦仲は破綻。 一方、姫君(男児)は女装して後宮に入り、女東宮と恋に落ちます。

やがて若君は宰相中将に正体を見破られ、関係を持ち妊娠・出産。 姫君は男の姿に戻り、若君を助けて逃亡。 その後、2人は本来の性に戻り、若君は中宮に、姫君は関白に出世して物語は幕を閉じます。

文化的意義と現代への影響

『とりかへばや物語』は、性別や社会的役割に対する葛藤を描いた、ジェンダー文学の先駆けとも言える作品です。 現代の漫画『とりかえ・ばや』(さいとうちほ)や小説『ざ・ちぇんじ!』(氷室冴子)などにも影響を与えており、千年を超えて語り継がれるテーマの力強さを感じさせます。

この物語を通じて、「性別とは何か」「社会的役割とは何か」という問いに向き合うことができます。

まとめ

昭和の小説や映画で描かれた男女入れ替わりの物語は、実は平安時代から続く長い文化の流れの一部でした。 『とりかへばや物語』は、性別の役割や社会的期待に揺れる人間の姿を描いた、日本文学史上でも特異で美しい物語です。

現代の視点から読み直すことで、当時の価値観や人間模様に新たな発見があるかもしれません。 あなたなら、どちらの立場で生きてみたいと思いますか?

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  • カテゴリー:古典文学 / 日本文化 / ジェンダー表現
  • タグ:とりかへばや物語, 男女入れ替わり, 平安時代, 古典, ジェンダー
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