四国ではなぜクマを見かけないのか。明治期に絶滅した理由と、剣山系〜香美市北部で生き残った個体群の秘密を探る。
四国のツキノワグマの歴史と最新調査をもとに、自然と人の関係を見つめ直す。

🏔️ なぜ四国ではクマがいなくなったのか? 剣山にだけ生き残った理由を探る
🐻 はじめに──「四国にはクマがいない」と言われてきたけれど
本州や北海道では、秋になると「クマの出没」がニュースになります。
ところが、四国ではそうした話をほとんど耳にしません。
「四国にはクマはいない」と言われるようになったのは、なぜでしょうか。
実はその背景には、明治期の絶滅と、奇跡的な生き残りの物語があります。
🌲 明治期、四国のクマはなぜ姿を消したのか
かつて四国にも、ツキノワグマ(ニホンツキノワグマ)が広く分布していました。
とくに徳島県の剣山や高知県北部の山々では、昔の狩猟記録や伝承も残っています。
しかし明治時代中期から後期にかけて、
その姿は次第に見られなくなりました。
原因は、いくつかの要因が重なったためです。
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鉄砲の普及による過剰な狩猟・駆除
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森林伐採・開墾による生息地と食物資源の喪失
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本州から隔絶された孤立個体群による遺伝的脆弱性
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「害獣」とみなされた人間社会の意識の変化
もともと四国の山地は面積が限られ、個体数も多くありませんでした。
そのため一度減少すると、回復の余地がほとんどなかったのです。
こうして、四国のツキノワグマは20世紀初頭までに
「ほぼ絶滅した」と考えられるようになりました。
🌄 それでも完全には消えていなかった──剣山系での発見
そんな中、2024年度に発表された調査が話題を呼びました。
四国森林管理局・中国四国地方環境事務所・四国自然史科学研究センターが実施した
最新の生息調査によると、
”徳島県の剣山山系から高知県香美市北部にかけての地域で、
少なくとも26頭のツキノワグマを確認。親子4組の繁殖も確認された。”
この数字は、調査開始以来もっとも多い記録です。
「絶滅した」とされた四国のクマが、
実は剣山の深い森で静かに命をつないでいたのです。
🏞️ 剣山系にクマが生き残った理由
では、なぜ剣山系だけにクマが残ったのでしょうか?
研究者たちは、いくつかの仮説を挙げています。
① 人里から遠く、開発の影響が少なかった
剣山系は標高1,000〜1,900メートル級の山々が連なる険しい地形。
古くから人の定住地や林業地が少なく、
人の影響を受けにくい自然環境が保たれてきました。
クマにとって“最後の避難地”となった可能性があります。
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【▲上記の記事からの続き▼】
② 豊かなブナ林が残っていた
ツキノワグマの主食はブナやミズナラの実、山の果実など。
剣山周辺は比較的湿潤で、ドングリ類の豊富な森が残っていました。
餌資源が安定していたことで、小さな個体群でも繁殖が維持できたと考えられます。
③ 信仰と山岳文化の「緩衝地帯」
剣山は古くから山岳信仰の聖地であり、修験道の場でもあります。
人の立ち入りが制限されていた時代も長く、
その文化的背景が結果的に自然保護の役割を果たしたとも言われます。
④ 個体群の孤立が“幸運な隔離”に
本州との交流がない孤立個体群であったため、
他地域で行われた大規模な狩猟圧から逃れられた可能性もあります。
人の手が届きにくい剣山系で、細々と命をつないできたのでしょう。
🧭 「はしっこプロジェクト」とは
四国森林管理局などが2014年から続けている
「はしっこプロジェクト」は、
“日本列島のはしっこで生き残ったクマたち”を調べる長期調査です。
センサーカメラを山中に設置し、
個体識別や繁殖状況を継続的に記録しています。
今回の調査では、
徳島県の三好市・美馬市・つるぎ町・那賀町、
そして高知県香美市でクマの姿が確認されました。
この結果から、
剣山山系とその周辺だけが四国最後の生息域であることが明確になりました。
🌿 クマが教えてくれる「森の記憶」
かつて四国のほとんどの山にクマがいた時代がありました。
人の生活や開発の中でその姿を失いましたが、
剣山の森ではいまも小さな命の循環が続いています。
クマは森の生態系の象徴です。
その存在は、森の豊かさやつながりを映す鏡でもあります。
私たちがこの島の自然とどう向き合うか──
その問いに、剣山のクマたちは静かに答えを示してくれているようです。
🐾 まとめ
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四国のツキノワグマは明治期にほぼ絶滅した
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原因は狩猟・開発・孤立などの複合要因
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現在、剣山系〜香美市北部でのみ生息が確認
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剣山にクマが残ったのは、地形・森の豊かさ・信仰文化の影響が重なったため
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「はしっこプロジェクト」が個体群の保全と調査を続けている
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