茶柱が立ったら人に言ってはいけない?NHK「チコちゃんに叱られる!」で紹介された言い伝えは本当なのか。全国共通ではない茶柱の俗信を民俗学的にやさしく解説します。

NHKの番組「チコちゃんに叱られる!」を見ていて、少し驚いた。
「茶柱が立ったら、人には言ってはいけない」
えっ、そうなの?
正直、私は初めて聞いた。
茶柱が立つと縁起がいい、という話は知っていたけれど、「黙っていろ」というルールまであるとは思っていなかった。
調べてみると、この違和感は間違っていなかったようだ。
茶柱は「縁起がいい」だけじゃなかった?
茶柱が立つと縁起がいい、という言い伝えは、江戸時代の後期から明治にかけて広まったとされている。
当時、煎茶が庶民の飲み物として定着し、茶葉の茎が立つ現象が珍しかったことが理由だ。
ただし、ここで重要なのは次の点だ。
「縁起がいい」までは比較的広く知られていたが、
「人に言ってはいけない」という部分は、全国共通ではなかった。
「言うと運が逃げる」という発想
一部の地域や家では、次のように言われていたという。
・言うと福が逃げる
・黙っていると運が大きくなる
・良い兆しは胸にしまっておくもの
これは茶柱に限った話ではない。
願掛けや初夢、吉兆全般について、日本の民間信仰では「良いことほど口に出すな」という考え方がよく見られる。
幸運は静かに訪れ、静かに受け取るもの、という感覚だ。
では、どこの地方の話なのか?
「茶柱が立ったら言うな」という言い伝えを、
特定の県や村に断定することはできない。
民俗資料を見る限り、この言い回しは
・関西地方
・瀬戸内沿岸
・江戸〜明治期の都市部の町家文化
などで、家内口伝レベルとして点在していたと考えられている。
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【▲上記の記事からの続き▼】
村全体の決まりや、誰もが知る常識ではなく、
「家の中でそう教えられた人がいた」
その程度の広がりだったようだ。
なぜ今はほとんど知られていないのか
理由は単純だ。
・戦後、迷信を教えなくなった
・家の中の言い伝えが途切れた
・「縁起がいい」部分だけが残った
その結果、
茶柱=縁起がいい
でも
茶柱=黙っていろ
という後半部分だけが忘れられた。
だから、「初めて聞いた」という人が多いのは、むしろ自然なことなのだ。
チコちゃんの説明は間違っていたのか?
結論から言えば、間違いではない。
ただし、
「昔から日本人がみんなそうしていた」
という意味ではない。
番組が紹介していたのは、
日本人に共通する“吉兆は慎ましく扱う”という価値観の一例だったのだと思う。
チコちゃんは、全国共通の常識というより、
「そういう考え方もあったんだよ」という民俗学的豆知識を、少し強めの口調で伝える番組だ。
まとめ
・茶柱が立つと縁起がいい、は比較的広く知られていた
・「人に言ってはいけない」は地域や家による俗信
・全国共通の古い決まりではない
・初めて聞いた人が多いのは当然
テレビを見て「知らなかった!」と思ったとき、
それは恥でも無知でもなく、
時代とともに消えていった生活文化に触れた瞬間なのかもしれない。
そう考えると、少し面白く感じられる気がする。
NHKのチコちゃんの番組で「茶柱が立ったら良い事ある」というのは、お茶屋さんが、番茶を売るために言い出したという説があると言っていましたね。