石油不足でユニットバスが作れない一方、ペットボトルは供給が止まらないのはなぜか。石油化学製品の違い、有機溶剤不足の背景、PET樹脂の供給構造をわかりやすく解説します。
目次
石油不足なのにペットボトルは作れるのか?
― ユニットバスは止まるのに、PETボトルは止まらない理由
最近、「日本で石油が足りず、ユニットバスが作れなくなっている」というニュースを耳にすることが増えました。
一方で、同じ石油由来の製品であるはずのペットボトルは、特に供給が止まったという話は聞きません。
「石油が足りないなら、ペットボトルも作れなくなるのでは?」
そう感じるのは自然な疑問です。
しかし実際には、ユニットバスとペットボトルでは“必要としている石油化学製品の種類”がまったく違うため、影響の出方が異なります。
この記事では、その仕組みをわかりやすく整理します。
◆ ペットボトルは石油から作られるのか?
結論は YES。
ペットボトルは、石油を精製して得られる「ナフサ」を原料にした PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂で作られています。
ただし、ここで重要なのは
“石油由来=すべて同じ原料を使っているわけではない”
という点です。
石油からは、ガソリン・軽油・ナフサ・重油など多くの成分が取れ、そこからさらに無数の化学製品が作られます。
PET樹脂はその中の「基礎素材」に近い位置にあります。
◆ 現在のペットボトルの主原料は何か?
2026年時点で市場に出回っているペットボトルの大半は、石油由来PETです。
バイオPET(サトウキビ・トウモロコシ由来)も増えていますが、
- コスト
- 生産量
- 技術的課題(特にPTAのバイオ化)
などの理由から、まだ全体の一部にとどまっています。
つまり、ペットボトルは今も石油由来が主流です。
◆ ではなぜユニットバスだけが作れなくなるのか?
ここが今回の本題です。
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【▲上記の記事からの続き▼】
ユニットバスが生産停止に追い込まれた理由は、
石油そのものが不足したからではありません。
不足したのは、
ユニットバスの製造に欠かせない“有機溶剤”です。
● 有機溶剤とは?
- 壁パネルのフィルムを貼る接着剤
- 浴槽のコーティング材
- 防水層の形成材
などに使われる、石油化学製品の一種です。
この有機溶剤は、
ナフサ → エチレン → 溶剤
という工程で作られます。
ホルムズ海峡の混乱などでナフサの供給が滞ると、
溶剤メーカーが原料を確保できず、接着剤やコーティング材が作れなくなる
という事態が起きます。
ユニットバスは多くの部材が“石油化学製品の複合体”なので、
どれか一つでも欠けると製造ライン全体が止まるのです。
◆ ペットボトルはなぜ止まらないのか?
理由は大きく3つあります。
① PET樹脂は“基礎素材”で供給網が広い
世界中で大量生産されており、代替調達もしやすい。
② ペットボトルはほぼ単一素材で作れる
ユニットバスのように「接着剤・フィルム・コーティング材」など多種類の化学品を必要としない。
③ 今回不足しているのは“有機溶剤”であり、PET原料ではない
つまり、影響を受けている化学品の種類が違うということです。
◆ まとめ:石油由来でも“どの化学製品が不足しているか”で影響は変わる
- ペットボトル → 石油由来だが、必要な原料は安定供給されている
- ユニットバス → 石油由来の“有機溶剤”が不足し、製造が止まる
- 石油不足=すべての石油製品が止まる、ではない
- 石油化学は“多段階のサプライチェーン”で成り立っているため、どこが詰まるかで影響が大きく変わる
今回のケースは、
「石油不足」ではなく「特定の化学原料の供給停止」
が原因だったというわけです。
