西江寺は、えんま様の愛称で知られる有名なお寺ですが、それ以外に有名なのが愛媛県指定名勝にもなっている枯山水様式の庭園です。
【36】せっかく来たのですから見て行かない手はありませんね。
前にもふれましたが宇和島市が平成2年に風景が美しい24箇所を指定していますが、「宇和島 24景」の一つとして ここ西江寺の庭園も入っています。
西江寺は、悟庵徹和尚によって龍光院の山下に貞治四年(1365年)開山された宇和島最古の寺だということです。
寛永三年(1626年)宇和島藩主伊達秀宗が城下町整備のおり的堂和尚に中興させて現在地に移されたということですので したがって庭園はその頃に造られたモノだと思われます。(中興とは、一度衰えていたり途絶えた物を復興させるという意味です。)
日本の庭園の美的構成の始まりは、遠く万葉の時代にさかのぼるといわれています。それは、海の景色や遠く霞む山並みなどを庭にうつす事でありました。
それから平安末期頃から仏教思想の影響が強く表れるようになり寺院の庭園として浄土庭園とよばれる形式が浄土思想に基づいて発達しました。
極楽浄土の有様を描いた浄土曼荼羅の構図をそのまま地上に再現しようとしたもので阿弥陀堂を中心に左右対称的に島や池の地割を行い池の岸には、海景の描写を試みています。
西江寺の庭園の構成にはそれがはっきりでていまして三尊石といわれるものが 阿弥陀堂に取って代わればそっくり当てはまる様に見えます。
日本庭園は、室町時代に入って飛躍的に発展をとげていますが、それは禅宗の自然観が絶大な影響を持ったことが大きな原因で景色をそのまま表す様式から次第に象徴化し抽象化した自然の表現に変わって作庭のポイントを石組に置いたようです。
岩石を仏像とみ永遠に変わらない材料とし堅固な石組をし石と砂利で海を現し池・山岳・渓流・滝・・・などの象徴的な姿を枯山水とよびました。
西江寺の庭園は、まさに水を用いないで自然の風景を象徴する、枯山水の様式であります。
江戸初期の作庭といわれていますが、滝組・三尊石・橋・中島などの配置に苦心の跡が見られ桃山様式であるといわれているようです。
せっかくここまで来ましたので 清家新一氏の重力研究所へ寄ってみます。
今日の「宇和島の散歩道」は、「西江寺・えんま様その4(庭園)」のお話でした。
[宇和島市西江寺地図 Simple Map]